ゼリーやプリンなどを固めるときに使用する材料のアガー、ゼラチン、寒天の違いについて解説します!素材の違いや特性をはじめ、それぞれの凝固剤のつるんとした食感の違いがおいしさのポイントになりますので、ぜひ覚えて頂きたいですね。
凝固剤といえば1番に思いつく「ゼラチン」
アガー、寒天と比べて最も口どけがよいゼラチンは、弾力性と粘性が強く、やわらかくプルンとした食感が特徴で、ゼリー・ムース・ババロアなど幅広くお使いいただけます。
ゼラチンは、20℃以下で固まり、25℃くらいで型崩れするので、夏場は注意が必要です。
ゼラチンの原材料
牛や豚の骨や皮に含まれているコラーゲン(タンパク質の一種)からできています。
ゼラチンの特徴
- 弾力性と粘性が強いので、やわらかく、プルンとした食感。
- 体温で溶けるので、アガー・寒天と比べて一番口どけがよい。
- 泡を抱きこむ力を持っているので、ムースやマシュマロなどのふわふわした食感も可能。
ゼラチンの種類と違い
- 粉ゼラチン
- 好きな量を使うことができ、家庭で扱いやすい。ふやかす手間が不要でスピーディーにムラなく溶かすことができる。初心者におすすめ。
- 板ゼラチン
- 1枚あたりの重量がほぼ決まっているので、測りやすい。透明感のある美しい仕上がりと、なめらかな食感に仕上がる。保形性があり、プロに多く使われている。
ゼラチンの使い方
使用量の目安は、液体の全体量に対して2〜2.5%程度を50~60℃くらいのお湯で溶かしてください。
- 粉ゼラチン
- 温めた液体に直接入れて溶かします。
- 板ゼラチン
- 板ゼラチンは氷水に1〜2分ほど浸けてふやかし、よく絞ってから60℃に温めた液体に入れて溶かしてください。
ゼラチンの使用上の注意点
- 生のパイナップルやキウイ、いちじくなどに含まれるタンパク質を分解する酵素の働きにより、ゼラチンが固まりにくくなります。一緒に使う場合には、あらかじめフルーツの缶詰を使用するか、過熱しましょう。
- 常温で溶けてしまうため、冷蔵庫から出したらなるべく早めにお召し上がりください。
アガーと異なり固めるときは、20℃以下の温度でなければ固まらず、通常冷蔵庫に入れて固めなければなりません。また固まった後も常温の中に出しっぱなしにしておくと溶けてしまいます。夏場など、商品を持ち歩く際には、注意が必要ですね。
サクッと崩れ、喉越し感じる「寒天」
アガー、ゼラチンと比べて最も凝固力が強い寒天は、歯切れがよくサクッと崩れ、喉越感がある特徴。透明感や弾力性はなく、杏仁豆腐や水ようかんなどにおすすめです。
また、食物繊維を多く含んでおり、ダイエットによいといわれています。
寒天の原材料
テングサやオゴノリなどの海藻からできています。
寒天の特徴
- アガー、ゼラチンと比べて最も凝固力が強く、わずかな量で多くの水分を固められます。
- 透明感や弾力はほとんどない。歯切れよくサクッと崩れ、なめらかな食感。
- 食物繊維を含んでいるので、ダイエットにもよいといわれています。
寒天の種類と違い
- 粉末寒天
- ふやかす、裏ごしする手間が必要ありません。お手軽で初心者の方におすすめ。
- 角寒天(棒寒天)
- 伝統的な製法で作られていて、風味が豊か。粉末寒天、糸寒天と比べると柔らかめの仕上がり。
- 糸寒天
- 粉末寒天、角寒天と比べると、透明感があり、繊細な口あたり。サラダやスープにも。
寒天の使い方
使用量の目安は、液体に対して1~1.5%程度で、ほどよい固さに。
- 粉末寒天
- 粉寒天は分量の水に加えて加熱し、2分ほど沸騰させてください。
- 角寒天(棒寒天)
- 角寒天は適当な大きさにちぎって、2~3時間水に浸してふやかしたあと、2分くらい加熱し、固まりがなくなって透明感がでるまでしっかり溶かします。最後に、裏ごしをするとなめらかに仕上がります。
- 糸寒天
- そのまま、2~3時間水に浸してふやかしたあと、2分くらい加熱し、固まりがなくなって透明感がでるまでしっかり溶かします。最後に、裏ごしをするとなめらかに仕上がります。
寒天の使用上の注意点
- 果物や果汁、フルーツ缶詰など酸味のある食品を使用するものは寒天が完全に溶けてから火を止め、あら熱が取れてから入れてください。
- 砂糖、塩など調味料や牛乳で味付けする場合、水が沸騰(1~2分ほど)して寒天が完全に溶けてから加えてください。
固まった後も常温の場所において置いても溶けることはありません。しかし、作業中にも常温で固まり出すため、できるだけ早く、作業を行いましょう。
透明感が高く、プルッとした食感「アガー」
ゼラチンや寒天と比べて最も透明度の高いアガーは、美しい光沢とゼラチンと寒天の間くらいのプルッとした独特な食感が特徴で、水ゼリーなど近年注目の素材です。
透明感のある、ふるふるのとろけるゼリーにはアガーがおすすめ。30~40℃で固まり、常温でも型崩れしないので、持ち運びもできます。
アガーの原材料
カラギーナンという海藻やローカストビーンガムというマメ科の種子の抽出物からできています。
アガーの特徴
- ゼラチン、寒天と比べて最も透明度が高い。また、光沢が美しく、素材の色を活かせます。
- 常温でも溶けない。寒天とゼラチンの間くらいのプルッとした独特の食感。
- 無味無臭。どんな素材でも風味の邪魔になりません。
アガーの使い方
使用量の目安は、液体の全体量に対して1~2%程度を90℃以上の熱湯で溶かしてください。
アガーの使用上の注意点
- ダマになりやすいので気をつけてください。ダマになると加熱してもうまく溶けないことがあります。あらかじめ砂糖と混ぜておきましょう。
- 砂糖を使用しない場合は、ダマにならないよう液体を攪拌しながら徐々にアガーを加え、均一に混ぜ合わせてから加熱してください。
- 果汁など酸味の強いものは、一緒に煮立てると固まらなくなることがあります。
凝固剤の性質のまとめ
ゼラチン | 寒天 | アガー | |
原材料 | 牛や豚の骨や皮に含まれるコラーゲン(タンパク質の一種) | テングサやオゴノリなどの海藻 | カラギーナン(海藻の抽出物)、ローカストビーンガム(マメ科の種子の抽出物)などを混合したゲル化剤 |
食感 | ぷるぷる、ふわふわ、口溶けがよい | 歯切れよくほろり | やわらかくふるふる、なめらか |
色・透明度 | 透明感のある薄い黄色 | 白濁 | 無色透明 |
オススメの使用法 | ゼリー、プリン、ムース、ババロア、マシュマロ | 水ようかん、杏仁豆腐、ところてん | ゼリー、プリン、水ようかん |
凝固環境 | 冷蔵 | 常温 | 常温 |
溶ける温度 | 50~60℃ | 90℃以上 | 90℃以上 |
固まる温度 | 20℃以下※冷蔵庫で冷やし固める | 40~50℃※常温で固まる | 30〜40℃※常温で固まる |
凝固後溶ける温度 | 25℃以上※夏場は常温でも溶ける | 70℃以上※常温でも溶けない | 60℃以上※常温でも溶けない |
使用量の目安(液体100mlに対して) | 1~3% (型抜きの場合1.5倍)※商品により異なります。 |
ようかんの場合:3〜5% | 1~2% |
それぞれの特徴を最大に出した使用を。
原材料が違うだけで、同じ凝固剤でも固まり方などに違いが出てきます。また、合わせる材料の科学的理由で、凝固が弱まったり、強まったりします。深く知れば知るほど、納得しますし突き詰めたくなりますね。